音楽アニメ映画『竜とそばかすの姫』のレビュー・感想・おすすめな人

音楽アニメ映画『竜とそばかすの姫』のレビュー・感想・おすすめな人

この記事では、アニメ映画『竜とそばかすの姫』を鑑賞した感想を書いています。

ネタバレを含んでいるので、「具体的な内容はまだ知りたくない」という場合は、あらすじまで読んで戻るボタンを。

『竜とそばかすの姫』を観た個人ブログの映画レビューを読んでみたい場合は、先に進んで読んでみてくださいね。

 

アニメ映画『竜とそばかすの姫』の基本情報

作品名『竜とそばかすの姫』
映画監督細田守
脚本細田守
原作細田守
音楽岩崎太整(音楽監督)、Ludvig Forssell、坂東祐大
撮影李周美、上遠野学、町田哲
主題歌「U」millennium parade × Belle(中村佳穂)
製作会社スタジオ地図
配給東宝
製作国日本
タイプ邦画
上映時間121分
公開日(日本)2021/7/16

 

アニメ映画『竜とそばかすの姫』の登場人物・キャスト

登場人物声優
すず/ベル中村佳穂
しのぶくん成田凌
カミシン染谷将太
ルカちゃん玉城ティナ
ヒロちゃん幾田りら
すずの父役所広司
恵(けい)/竜佐藤健
ジャスティン森川智之
ペギースーermhoi
アナウンサー(冒頭)水卜麻美
アナウンサー(コンサート)桝太一
吉谷(よしたに)さん森山良子
喜多(きた)さん清水ミチコ
奥本(おくもと)さん坂本冬美
中井(なかい)さん岩崎良美
畑中(はたなか)さん中尾幸世
ひとかわむい太郎&ぐっとこらえ丸宮野真守
すずの母島本須美
恵・知の父石黒賢
知(とも)/天使HANA(Hana Hope)
イェリネク津田健次郎
スワン小山茉美
フォックス宮本充
司会者牛山茂
野球評論家多田野曜平

 

アニメ映画『竜とそばかすの姫』のあらすじ

自然に囲まれた高知の田舎で暮らす内藤鈴は、幼い頃に母を失い、歌うことの喜びを忘れてしまっていた。

しかし、彼女の創作するメロディだけが心の支えとなっていた。

 

そんなある日、鈴は親友に導かれ、50億人が集うバーチャル世界<U>に足を踏み入れる。

ここでは、<As>として新たな自分を創り出し、別の人生を歩むことができた。

ベルとしての鈴は、<U>の中で自然と声を取り戻し、瞬く間にその歌声が世界中に響き渡る。

 

しかし、彼女の大規模コンサートの最中に、突如として現れた謎多き「竜」が事態を一変させる。

乱暴で傲慢、そして深い傷を抱えた竜に、ベルは惹かれていく。

二人の間には、徐々に互いの心の傷を癒す絆が芽生え始める。

 

<U>では、竜を追う者たちが現れ、彼の正体を暴こうとする波乱が巻き起こる。

現実世界と<U>が交錯する中、ベルは竜を救い出し、彼の心の内を解き明かそうと奔走する。

二つの世界の境界が曖昧になる中で、鈴は自らの声を取り戻し、竜の真実を世界に示そうとする。

 

アニメ映画『竜とそばかすの姫』の予告編動画

『竜とそばかすの姫』は、バーチャルとリアルが交差する中で、一人の少女が真実の愛と自己発見の旅を経験する物語です。

失われた歌声を取り戻し、心の傷を癒す旅は、観る者に深い感動と共感を呼び起こします。

 

アニメ映画『竜とそばかすの姫』の感想

細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』は、ただのアニメ映画という枠を超えた、音楽と人間の心の深淵を探る壮大な物語です。

物語の主人公は、自然豊かな高知に住む17歳の女子高生・内藤鈴(すず)。

幼い頃に母を事故で亡くし、以来、歌うことができなくなった彼女が、仮想世界<U>で「ベル」として生まれ変わり、世界的な歌姫となる過程を描いています。

この作品を見て、多くの人が涙したのは、絶望からの復活、つまり救済を音楽を通じて描いたからに他なりません。

 

冒頭、母親が見ず知らずの子供を助けるため川に飛び込むシーンは、見る者の心を強く揺さぶります。

このシーンは、物語全体のテーマである「自己犠牲と救済」を象徴しています。

すずがこの大切な教訓を学び、心の傷を乗り越えて成長する過程は、この映画の中心的なメッセージを形成しています。

 

映画は、仮想世界と現実世界の間で展開され、そのギャップが観客に強烈な印象を与えます。

しかし、ベル(すず)の美しい歌声が、その隔たりを埋め、視聴者に直接心に響くのです。

この作品の魅力の一つは、細田監督が音楽を通して、人と人とのつながり、思いやり、そして生身でぶつかることの大切さを表現している点にあります。

 

特に、すずが仮想世界で竜という謎の存在と出会い、彼を救いたいと願うようになる過程は、深い感動を呼びます。

竜が抱える秘密と彼を取り巻く現実世界と仮想世界の両方での葛藤は、この映画のドラマチックな高まりを生み出しています。

 

仮想世界でのアイデンティティと現実世界での自己認識の違い、そしてそれらが最終的にすずの内面的な成長にどのように結びつくのかを描いたこの作品は、単なるエンターテイメントを超えた深い洞察を与えてくれます。

終盤にすずが、母親の死の真実と彼女自身の行動の意味を理解し、自分自身と和解するシーンは、この映画の核心をなす部分です。

 

『竜とそばかすの姫』は、見る者に多くの感情を呼び起こす作品です。

細田守監督の美しい映像世界と、心に響く音楽、そして深い人間ドラマが融合したこの映画は、視聴者に忘れがたい体験を与えてくれるはずです。

この作品は、心を開いて真実と向き合う勇気を持つことの大切さを、美しく、そして力強く教えてくれるでしょう。

 

ネットが発達し、遠く離れている人とも簡単につながれる現在でも、ネットだけは解決できない問題があります。

それは、これからどれだけAIが発達したとしても変わりません。

すずの行動は、人と直接触れ合い、大切な人に寄り添うことの大切さを教えてくれました。

 

アニメ映画『竜とそばかすの姫』はこんな人におすすめ

『竜とそばかすの姫』は、深い人間ドラマと豊かな音楽が融合した映画であり、特に次の二つのグループに当てはまる人におすすめです。

 

音楽が好きな人

この映画は、音楽の力を軸に物語が展開します。

主人公の内なる変化と成長が、音楽を通じて表現されているため、音楽が持つ感情的な影響力を深く理解している人には特に響くものがあるはずです。

中村佳穂さんによる美しい歌声と、音楽がいかに人の心に響き、変化を促すことができるかを示すストーリーは、音楽愛好家や音楽を通じて感情を表現することの価値を信じる人々にとって、深い共感と感動を呼び起こします。

 

SNSなどの仮想世界の人間関係の複雑さを感じている人

現代社会では、SNSや仮想空間が私たちの生活に深く根ざしています。

この映画は、仮想世界と現実世界が交錯する中での人間関係の複雑さを巧みに描き出しており、仮想世界での自己表現やアイデンティティ、オンライン上での対人関係に悩む人にとって、共感と洞察を与えてくれます。

特に、SNSでの人との繋がりがもたらす喜びと苦悩を日々感じている人にとって、この物語は仮想世界での自己表現の意味や、リアルとバーチャルの関係性を再考するきっかけを与えるでしょう。

 

総じて、『竜とそばかすの姫』は、音楽を愛し、デジタル時代の人間関係の奥深さに興味を持つ人に、新たな視点と感動を提供する映画です。

 

【まとめ】考えさせられる映画が好きならアニメ映画『竜とそばかすの姫』を観るのがおすすめ

『竜とそばかすの姫』は、ただのエンターテイメントを超えた、深い考察を促す作品です。

本作は、音楽の力、仮想世界と現実世界の繋がり、そして人間関係の複雑さを巧みに織り交ぜながら、観る者に自己反省と成長のきっかけを与えてくれます。

音楽が好きな人はもちろん、SNSやデジタル社会の影響について考えている人にとっても、この映画は多くの示唆に富んだ内容を持っています。

主人公すずが仮想世界「U」でベルとして花開く姿は、現代の若者が直面するアイデンティティの問題や、オンラインでの自己表現の難しさを象徴しています。

また、仮想世界での人気者でありながら、現実世界では自分自身との戦いを強いられるすずの姿は、誰もが持つ内なる葛藤と、それを乗り越えるための勇気について考えさせられます。

 

この物語は、音楽を通じた救済や、人と人との本当のつながりの重要性を、美しい映像と感動的な音楽で伝えています。

中村佳穂さんの歌声によって表現されるベルの歌は、観る者の心に深く響き、音楽の持つ癒しの力を改めて実感させてくれます。

 

さらに、仮想世界と現実世界の境界を超えた人間関係の描写は、現代社会におけるデジタルコミュニケーションのあり方を問い直させるものです。

仮想空間での出会いが現実世界にどのような影響を及ぼすのか、その複雑さと美しさを、細田守監督は繊細かつ大胆に描き出しています。

 

最後に、この映画はただのファンタジーでは終わらず、観る者一人ひとりに「正義」「家族」「愛」など、普遍的なテーマについて深く考える機会を与えてくれます。

自分自身や周りの人との関係を見つめ直し、改めて大切にしたいと感じさせる力があります。

 

結論として、『竜とそばかすの姫』は、深いメッセージと豊かな感情表現が融合した、考えさせられる映画を求める人にとって、必見の作品です。

この映画は、観る者に様々な気づきを与え、心に残る感動を与えてくれるでしょう。

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